
結婚相談所でサポートをしていると、お断り理由として頻繁に使われる言葉があります。それが「価値観の相違」です。
実は、「価値観の相違」という言葉は、お断り理由としては非常に便利で、使いやすい理由なのです。具体的な理由を説明する必要がなく、相手を傷つけることも少なく、誰もが納得しやすい——そんな万能な断り文句になっています。
しかし、本当にそれは「価値観の相違」なのでしょうか。今回は、婚活における価値観の違いについて、深く掘り下げて考えてみたいと思います🙂
なぜ「価値観の相違」が頻繁に使われるのか、その理由を考えてみましょう。
「見た目が好みではなかった」「話がつまらなかった」「経済力に不安を感じた」など、本当の理由を正直に伝えることは、相手を傷つける可能性があります。また、自分自身も何となく後ろめたい気持ちになります。
しかし、「価値観が合わなかった」と言えば、誰も深く追及しません。具体的に何が違ったのかを説明する必要もなく、円満にお断りできます。
「あなたが悪いわけではなく、ただ私たちの価値観が合わなかっただけ」というニュアンスを含むため、相手の人格を否定することなくお断りできます。
これは、お互いにとって傷が浅く済む、優しい断り方のように思えます。
容姿や収入などの具体的な理由であれば、「でも、私は改善できます」「もう一度チャンスをください」と言える余地があります。
しかし、「価値観が合わない」と言われると、それは根本的な部分の不一致を意味するため、反論や挽回の余地がありません。すっぱりと関係を終わらせることができます。
お断りする側も、「なぜこの人とは続けられないのか」を明確に言語化できないことがあります。そんなとき、「価値観が合わなかった」という言葉は、自分自身を納得させる便利な理由になります。
先日、私は夫婦でNetflixの「サンクチュアリ」というドラマを観ていました。相撲界を舞台にした、大変興味深い作品です。
ドラマを観ていて、私が涙を流した場面がありました。それは、静内という力士の母親が、貧困が原因で自殺をした場面でした。
貧困とは、人の尊厳を奪い、選択肢を奪い、幸せを奪っていくものです。そして、静内の心は深く傷つき、一生忘れることのできない出来事になったことでしょう。母親を失った悲しみ、貧困への怒り、自分を責める気持ち——そうした複雑な感情が、彼の人生に大きな影を落としたはずです。
私は、この場面で静内の痛みと母親の絶望に共感し、涙が溢れました。
しかし、隣で同じドラマを観ていた夫は、この場面で何も感じていませんでした。涙も流さず、特に心を動かされた様子もありませんでした。
では、夫がいつ涙を流すのかというと、それは「男が人生をかけて何かに挑戦し、困難を乗り越えて上り詰めていく場面」なのです。努力と根性、栄光と達成——そうした物語に、彼は深く感動します。
同じドラマを観ていて、感動する場面が全く異なる——これも、ある意味で「価値観の違い」です😅
私は、弱者への共感や、社会問題への怒り、人間の悲しみに心を動かされます。一方、夫は、努力と成功の物語、男性的な達成感に感動します。
しかし、だからと言って、「価値観が合わないから離婚しよう」とはなりません。なぜなら、これは些細な違いであり、むしろ個性の違いとして楽しめる部分だからです。
ここで、何が言いたいのかというと、価値観の違いなんて、たくさんあって当たり前だということです。
私たちは皆、異なる家庭で、異なる環境で育ってきました。親の価値観、地域の文化、教育の内容、友人関係、経験してきた出来事——これらすべてが、私たちの価値観を形成しています。
育ってきた環境が違うのだから、考え方が違うのは当たり前です。むしろ、すべての価値観が完全に一致する相手を探すことの方が、不可能に近いでしょう。
価値観が少し違うからこそ、相手から学べることがあり、自分の視野が広がります。新しい考え方に触れることで、人生がより豊かになります。
すべてが同じ価値観のカップルは、一見楽そうに見えますが、実は刺激がなく、お互いの成長も限定的になる可能性があります。
結婚相手であっても、元々は他人です。血縁関係もなければ、育った環境も違います。価値観が違うのは、むしろ自然なことです。
大切なのは、違いがあることを前提として、どう向き合っていくかということです。
婚活において、そして結婚生活において最も重要なのは、相手の価値観を認める作業をすることです。
「認める」とは、相手の価値観を自分も採用するということではありません。相手の価値観は自分と違っていても、それはそれで一つの正しい考え方だと尊重することです。
例えば、先ほどのドラマの例で言えば、私は夫に「あなたももっと社会問題に共感すべきだ」と押し付けません。同様に、夫も私に「もっと男の成功物語に感動しろ」とは言いません。
お互いが違う部分で感動することを認め合い、「そういう見方もあるんだね」と受け入れています。
自分の価値観が絶対に正しいと思い込み、相手に押し付けようとすることは、関係を壊す最大の原因です。
「私はこう思う」と伝えることは大切ですが、「だからあなたもこう思うべきだ」と強要してはいけません。
価値観の違いに気づいたとき、それを「合わない」と切り捨てるのではなく、「なぜそう思うの?」と対話を続けることが重要です。
相手の背景や経験を知ることで、その価値観が形成された理由が理解できます。理解できれば、受け入れやすくなります。

では、婚活や結婚生活において、本当に問題となる「価値観の相違」とは何でしょうか。
以下のような、人生の根幹に関わる価値観の違いは、確かに結婚生活において大きな問題となります。
子供について
お金について
家族について
仕事について
住む場所について
宗教や政治
これらは、日常生活に直接影響を与え、妥協が難しい部分です。こうしたレベルの価値観の違いであれば、「合わない」と判断することは理解できます。
一方で、以下のような違いは、「価値観の相違」として結婚を諦める理由にはならないはずです。
これらは、個性の違いであり、むしろあって当然のことです。こうした違いを「価値観が合わない」と言ってお断りしていては、誰ともご縁を繋ぐこともできません。
婚活の現場では、本来なら些細な違いであるにもかかわらず、「価値観の相違」という言葉が安易に使われすぎている傾向があります。
実際には、「見た目が好みではなかった」「会話が盛り上がらなかった」「なんとなくピンとこなかった」という理由であっても、「価値観が合わなかった」という言葉に置き換えられることが多いのです。
これ自体は、相手を傷つけないための配慮とも言えますが、問題は、お断りする側も本当の理由を直視せず、何でも「価値観の相違」で片付けてしまうことです。
「価値観が合わなかった」で片付けることは、「なぜこの人とはうまくいかなかったのか」を深く考えることを放棄することでもあります。
本当は、自分のコミュニケーション能力に問題があったのかもしれません。あるいは、相手の良い面を見ようとする姿勢が欠けていたのかもしれません。
しかし、「価値観が合わなかった」と結論づけることで、自分を省みる機会を失ってしまいます。
現代の婚活では、「完璧な相手」を求めすぎる傾向があります。少しでも違和感があると、「価値観が合わない」と判断して次へ進んでしまう。
しかし、完璧に価値観が一致する相手など、この世に存在しません。些細な違いを許容できない人は、永遠に理想の相手を探し続けることになります。
もし、あなたが婚活で「価値観の相違」を理由にお断りばかりしているのなら、少し立ち止まって考えてみてください。
それは本当に、結婚生活に影響を与えるレベルの価値観の違いでしょうか。それとも、単なる個性や好みの違いを、「価値観の相違」という言葉で表現しているだけではないでしょうか。
子供を持つかどうか、お金の使い方、住む場所など、人生の根幹に関わる部分で大きく違うのであれば、それは確かに問題です。しかし、趣味が合わない、笑いのツボが違う、感動する場面が違う程度であれば、それは価値観の相違とは言えません。
価値観が少し違うからこそ、相手から新しい視点を学べます。自分が知らなかった世界を教えてもらえます。違いは、障害ではなく、豊かさの源なのです。
「この人は私と違う考え方をするんだな」と面白がる余裕を持つことが、婚活の成功につながります。
恋愛や結婚は、最初から完璧な相性の相手と出会うことではなく、少しずつお互いを理解し、受け入れ、関係を育んでいくプロセスです。
最初のお見合いやデートで「価値観が合わない」と判断するのではなく、何回か会って対話を重ね、相手を知る努力をすることが大切です。
些細な違いを「価値観の相違」として切り捨て続けていると、最終的には誰ともご縁を繋ぐことも、関係を育むこともできなくなります。
婚活が長期化し、お見合いを重ねても結果が出ない人の多くは、この傾向があります。完璧を求めすぎて、目の前の良い相手を見逃してしまっているのです。
多くのカップルをサポートしてきた経験から、成婚に至るカップルには共通の特徴があります。
成婚するカップルは、お互いの違いを認め合い、尊重し合っています。「この人は私と違う部分があるけれど、それも含めて魅力的だ」と思えています。
完璧に価値観が一致しているわけではありません。しかし、重要な部分では一致しており、些細な違いは個性として楽しんでいます。
価値観の違いに直面したとき、すぐに「合わない」と諦めるのではなく、「なぜそう思うの?」と対話を続けます。
相手の考え方の背景を理解しようとする姿勢があります。そして、お互いの考えを尊重しながら、折り合いをつける努力をします。
成婚するカップルは、相手に完璧を求めません。「この人にも欠点はあるけれど、それ以上に良いところがたくさんある」と、総合的に相手を評価しています。
長所と短所を天秤にかけたとき、長所の方が圧倒的に重いと感じられる相手を選んでいます。
最初から完璧な関係ではなく、時間をかけてお互いを理解し、関係を育てていく意識があります。
「この人と一緒に、良い関係を作っていこう」という前向きな姿勢が、成婚への道を開きます。
結婚相談所の仲人として、会員様にお伝えしたいことがあります。
お断り理由として「価値観の相違」を使うことは、決して悪いことではありません。しかし、それが本当の理由なのか、一度立ち止まって考えてみてください。
些細な違いを「価値観が合わない」と表現していないか。自分の心に正直に向き合ってみてください。
人は皆違います。育った環境も、経験も、考え方も違います。違いがあることは、むしろ自然なことです。
違いを恐れず、むしろそれを楽しむ余裕を持ってください。相手の違う部分から、あなたも学び、成長できます。
一方で、本当に重要な価値観——子供、お金、仕事、家族、住む場所など、人生の根幹に関わる部分での違いは、しっかりと見極める必要があります。
こうした部分で大きく違う場合は、確かに結婚生活において問題となる可能性が高いです。妥協すべきでない部分と、許容すべき部分を、しっかりと区別しましょう。
最初の数回のデートで「価値観が合わない」と判断するのは、早すぎます。人を理解するには、時間がかかります。
何度か会って、さまざまな話をして、相手の考え方や価値観をじっくりと知る時間を持ってください。表面的な印象だけで判断しないでください。
婚活において「価値観の相違」という言葉は、非常に便利で使いやすいお断り理由です。しかし、その言葉が、本当に人生の根幹に関わる価値観の違いを指しているのか、それとも単なる個性や好みの違いを表しているだけなのか、しっかりと見極める必要があります。
ドラマで涙を流す場面が違うこと、趣味が異なること、好きな食べ物が違うこと——これらは「価値観の相違」ではなく、「個性の違い」です。
育ってきた環境が違うのだから、考え方が違うのは当たり前です。大切なのは、その違いを認め、尊重し、対話を続けることです。
他人なのだから価値観は違って当然です。相手の価値観を認める作業をしてください。
そして、本当に「価値観の相違」と言えるのは、子供を持つかどうか、お金の使い方、住む場所、仕事への考え方、家族観など、人生の根幹に関わる部分での大きな違いです。こうしたレベルの違いであれば、「合わない」と判断することは理解できます。
婚活で、些細な違いを「価値観の相違」を理由にお断りばかりしているのなら、誰ともご縁を繋ぐことも育むこともできません。
少しの違いを許容し、相手を理解しようとする姿勢を持つことが、婚活の成功につながります。完璧な相手を探すのではなく、お互いの違いを認め合える相手を見つけてください。
そうすれば、きっと素晴らしいご縁に恵まれるはずです😆
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