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変わりゆく結婚制度!多様な婚姻のかたち:2025年最新事情

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はじめに:結婚観の大転換期を迎えた日本社会

2025年12月17日放送のNHK「あさイチ」特集が象徴するように、現代日本における結婚観は歴史的な転換期を迎えています。かつて「結婚は人生の必須イベント」とされた時代から、今や結婚は数ある人生の選択肢のひとつとなりました。結婚しても名前を変えたくない人、海外で婚姻する人、パートナーシップ制度を選ぶ人、そして「友達4人で約束をしている」という新しい形の絆まで、多種多様な選択が可能になっています😀

本記事では、変わりゆく結婚制度の意味、多様化する婚姻のかたち、アセクシュアルな人々の存在、「恋愛と結婚は別」という価値観、そして「恋愛や結婚がマストではなくなった」時代に、それでも人が人とつながりを求める理由について、最新情報とともに深く掘り下げます。

結婚制度の意味:時代とともに変わる社会的役割

伝統的な結婚制度が担ってきた機能

日本における結婚制度は、長い歴史の中でさまざまな社会的機能を担ってきました。江戸時代以前は家と家をつなぐ政治的・経済的契約としての側面が強く、明治時代には「家制度」として法制化されました。戦後の民法改正で家制度は廃止されましたが、結婚を「社会的に一人前になる証」とする意識は長く残り続けました。

伝統的に結婚制度が果たしてきた主な役割には、以下のようなものがあります。

経済的相互扶助システムとして、夫婦が協力して家計を支え、老後の生活を保障し合う機能がありました。特に女性の就労機会が限定的だった時代には、結婚は女性にとって経済的安定を得る重要な手段でした。男性は「稼ぎ手」、女性は「家庭を守る者」という性別役割分業が前提とされていました。

次世代育成の基盤として、子どもを産み育てる場としての機能も重視されました。法律婚による嫡出子の概念は、子どもの法的地位を安定させ、相続権や扶養義務を明確にする役割を果たしました。

社会的承認と帰属の獲得手段として、結婚することで「一人前の大人」と認められ、地域社会や職場での立場が安定するという側面もありました。逆に、一定年齢を過ぎても結婚しない人に対する社会的プレッシャーは、この機能の裏返しといえます。

現代における結婚制度の意味の再定義

しかし21世紀に入り、これらの伝統的機能は大きく変容しています。女性の社会進出が進み経済的自立が可能になったことで、結婚が経済的必要性から選ばれる度合いは大幅に低下しました。また、少子化対策の議論が活発化する一方で、結婚と出産を切り離す価値観も広がっています😃

現代における結婚制度の意味は、次のように再定義されつつあります。

選択的パートナーシップの公的承認として、結婚は「しなければならないもの」から「したい人がするもの」へと変化しました。自分の人生設計に合わせて結婚するかどうかを選択する自由が、社会的にも徐々に認められるようになってきています。未婚率の上昇も、この価値観の変化を反映しています。

法的保護と社会制度へのアクセス手段として、税制優遇、相続権、医療における意思決定権、配偶者ビザなど、結婚によって得られる法的保護や社会制度上のメリットは依然として存在します。これらの実利的側面が、結婚を選ぶ理由のひとつとなっているケースも少なくありません。

関係性の象徴的宣言として、「この人と人生を共にする」という意思を社会に対して公式に表明する手段としての象徴的意味も残っています。ただし、この機能も絶対的なものではなくなり、結婚式を挙げない「ナシ婚」や、入籍だけで済ませるカップルも増加しています。

婚姻の多種多様:広がる結婚と関係性のかたち

法律婚以外の選択肢:事実婚とパートナーシップ制度

現代社会では、法律婚(婚姻届を提出する正式な結婚)だけが唯一の選択肢ではなくなりました。さまざまなライフスタイルや価値観に合わせた多様な結びつきのかたちが実践されています。

**事実婚(内縁関係)**は、婚姻届を出さずに夫婦同然の生活を送る形態です。特に結婚しても名前を変えたくない人々にとって、現行の民法が夫婦同姓を義務付けている日本では、事実婚は現実的な選択肢となっています。法的保護は法律婚に比べて限定的ですが、社会保険や年金制度の一部では配偶者として認められるケースもあります。また、相続権がないことや、子どもが生まれた場合の手続きの煩雑さなど、デメリットも存在します。

パートナーシップ制度は、自治体が独自に導入する公的な関係性の証明制度です。2015年に東京都渋谷区と世田谷区が先駆けて導入して以来、2025年現在では全国400以上の自治体で導入されています。主にLGBTQカップルを対象として始まりましたが、事実婚の異性カップルも利用できる自治体が増えています。法的拘束力はないものの、公的な関係性の証明として機能し、住宅契約、病院での面会、携帯電話の家族割適用などで配慮を受けられるケースが増えています。

別居婚・週末婚は、結婚しながらも別々に暮らす、あるいは平日は別居して週末だけ一緒に過ごすスタイルです。仕事の都合(転勤や単身赴任)、それぞれのライフスタイルの違い、親の介護、あるいは単に「一人の時間を大切にしたい」という理由で選ばれています。物理的距離を保ちながらも、パートナーシップを維持する新しい形として注目されています。ちなみに、私自身も最初は別居婚からスタートでした。

友情結婚・契約結婚は、恋愛感情や性的関係を伴わない結婚形態です。経済的メリット、社会的体裁、子育ての協力者を得るため、あるいはビザ取得のためなど、さまざまな理由で選ばれています。アセクシュアルやアロマンティックの人々、あるいはLGBTQで家族からカミングアウトできない人々にとって、実用的な選択肢となる場合もあります。
「あさイチ」で放映された、友達婚で「0日婚」の芸人エレガント人生の結婚生活はとても参考になりました。また、「友達4人で約束をしている」というケースも、従来の一対一の枠組みにとらわれない新しい関係性の模索といえるでしょう。

海外で婚姻する選択:国際結婚と制度の違い

結婚しても名前を変えたくない人の中には、海外で婚姻するという選択をする人もいます。多くの国では夫婦別姓が認められており、あるいはそもそも結婚による改姓という概念がない国も珍しくありません。

海外婚姻のメリットとしては、夫婦別姓が可能なこと、同性婚が法制化されている国も多いこと、結婚に関する手続きが比較的簡素な国もあることなどが挙げられます。特に国際カップルの場合、どちらの国で婚姻するかは重要な選択となります。

日本での法的効力については、海外で正式に成立した婚姻は、日本の市区町村に婚姻届(報告的届出)を提出することで、日本でも法的に有効な婚姻として認められます。ただし、日本の民法が適用されるため、海外で別姓のまま婚姻していても、日本の戸籍では夫婦同姓となります。このため、海外婚姻しても完全に別姓を貫くことは難しいのが現状です。

それでも、海外生活が長い人、国際的な仕事をしている人、あるいは象徴的な意味で「別姓婚を実現したい」という人々にとって、海外婚姻は一つの選択肢となっています。

国際比較:世界の多様な婚姻制度

世界に目を向けると、婚姻制度の多様性はさらに広がります。

**フランスのPACS(連帯市民協約)**は、結婚よりも簡易な法的パートナーシップ制度として1999年に導入され、異性・同性を問わず利用されています。解消も結婚より容易で、税制面でのメリットもあることから、若い世代を中心に広く利用されています。

北欧諸国では、スウェーデンやノルウェー、デンマークなど、早くから同性婚や登録パートナーシップ制度が整備されました。これらの国では婚外子に対する社会的偏見も少なく、結婚と出産が必ずしも結びついていません。

アメリカでは、2015年に連邦最高裁判所が同性婚を全米で合法化しました。ただし、州によって婚姻に関する規定は異なり、コモンロー婚(事実婚の一種)が認められる州もあります。

アジア諸国では、台湾が2019年にアジアで初めて同性婚を法制化しました。タイでも2025年に同性婚法が施行され、アジアで2番目の同性婚合法国となりました。

これらの国々では、結婚制度が社会の変化に合わせて柔軟に進化してきました。日本でも選択的夫婦別姓制度や同性婚の議論が続いていますが、法制化は実現していません。しかし、実態としては多様な関係性が既に存在しており、制度と現実のギャップが大きな課題となっています。

結婚しても名前を変えたくない:夫婦別姓をめぐる現状

日本の夫婦同姓制度の特殊性と問題点

日本は世界でも極めて珍しい「夫婦同姓を法律で義務付けている国」です。民法第750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定していますが、制度上は平等でも、実態としては約95%のケースで妻が夫の姓に改姓しています。これは伝統的な性別役割分業意識や、「男性が姓を変えることへの抵抗感」が社会に根強く残っているためと考えられます。

歴史的経緯を見ると、明治時代の家制度では妻は夫の「家」に入るという考え方が支配的でした。戦後の民法改正で家制度は廃止され、理論上は夫婦平等となりましたが、夫婦同姓の規定だけは残されました。2015年の最高裁判決では「夫婦同姓制度は合憲」とされましたが、5人の裁判官が違憲意見を述べるなど、司法の中でも意見が分かれています。

国連からの勧告も繰り返されています。国連女性差別撤廃委員会は複数回にわたり、日本に対して選択的夫婦別姓制度の導入を勧告しています。国際的には、結婚による強制的改姓は女性差別の一形態とみなされることが多いのです。

「結婚しても名前を変えたくない」人々の理由

結婚しても名前を変えたくない理由は、個人によってさまざまですが、主なものには以下があります。

職業上のアイデンティティの維持:論文執筆、資格取得、業績蓄積など、名前と紐づいたキャリアが途切れてしまう問題があります。研究者、医師、弁護士、作家、芸能人など、名前が職業的信用と直結する職種では特に深刻です。改姓によって過去の実績が検索できなくなったり、論文の引用数がリセットされたりする実害が報告されています。

当社で成婚した女性もお仕事柄名前を変更したくないため、男性が女性にあわせてくださったようです。

アイデンティティの連続性:名前は自己認識の重要な要素です。20年、30年と使ってきた名前を変えることに強い違和感や喪失感を覚える人は少なくありません。

「生まれた時からの自分」を失う感覚と表現する人もいます。

事務手続きの負担:銀行口座、クレジットカード、パスポート、運転免許証、各種契約書類など、改姓に伴う手続きは膨大です。

この「見えないコスト」が圧倒的に女性に偏って負担されている現実があります。手続きに要する時間、労力、精神的ストレスは相当なものです。

家族への思い:自分の姓は両親や先祖とつながる大切なものであり、それを手放したくないという感情も自然なものです。特に一人娘の場合、「実家の姓が途絶える」ことへの思いもあります。知人の男性も女性の姓が珍しいものでしたので、結婚を機に女性の姓に変更しました。

通称使用という不完全な解決策

現在、多くの職場や社会生活の場面で、結婚後も旧姓を「通称」として使用することが認められるようになってきました。しかし、これは根本的な解決にはなっていません。

通称使用の限界として、公的書類や法的契約では必ず戸籍名を使わなければならず、実質的に「二つの名前」を使い分ける複雑な状況が生じます。銀行口座は旧姓で開設できないケースが多く、パスポートも原則として戸籍名です(併記は可能)。海外出張でのビザ申請、医療機関での本人確認、不動産契約など、思わぬ場面で戸籍名が必要となり混乱が生じます。

マイナンバーカードの旧姓併記は2019年から可能になりましたが、これも完全な解決ではありません。併記するには住民票に旧姓を記載する必要があり、そのためには戸籍謄本などの書類が必要です。また、併記はあくまで「参考情報」であり、法的な名前は戸籍名です。

選択的夫婦別姓をめぐる議論の現状

選択的夫婦別姓制度(結婚後も別姓を選べる制度)の導入を求める声は年々高まっています。各種世論調査では、導入に賛成する人が反対する人を上回る結果が続いています。

賛成派の主な論点:個人のアイデンティティの尊重、男女平等の実現、キャリア継続の支援、国際標準への適合、結婚の障壁を下げることによる少子化対策などです。重要なのは「選択的」であることで、同姓を希望する夫婦には何の影響もない点です。

反対派の主な論点:家族の一体感が損なわれる、子どもへの悪影響、伝統的家族観の崩壊、社会の混乱などが挙げられます。ただし、これらの懸念の多くは実証的根拠に乏しく、既に事実婚などで別姓家族は存在している現実もあります。海外での研究でも、別姓家族と同姓家族で家族関係の質に有意な差はないとされています。

政治的状況:自民党内では保守派を中心に反対論が根強く、法制化は進んでいません。一方、野党や一部の与党議員は導入を支持しています。企業からも「優秀な人材確保のため」として導入を求める声が上がっています。

NHK「あさイチ」の特集でも取り上げられたように、結婚しても名前を変えたくない女性(そして男性)は確実に増加しています。事実婚を選ぶ、通称使用で対応する、あるいは夫が妻の姓を名乗るなど、さまざまな形で「名前を守る」努力が続けられていますが、法制度の壁は依然として高いのが現状です。

アセクシュアルで恋愛や性交渉に意味を見出せない人々

アセクシュアル・アロマンティックという存在

近年、性的指向・恋愛指向の多様性への理解が深まり、アセクシュアル(他者に性的魅力を感じない)やアロマンティック(他者に恋愛感情を抱かない)という存在が可視化されてきました。これは単なる「草食化」や「恋愛離れ」ではなく、その人の本質的な特性です。

アセクシュアル・アロマンティックの人々は、社会が当然視する「恋愛→交際→性交渉→結婚」という道筋に違和感を覚えます。恋愛ドラマや恋愛小説で描かれる感情が「理解できない」「なぜそこまで?」と感じることもあります。

しかし重要なのは、恋愛や性に興味がないからといって、人間関係や親密な絆を求めないわけではないということです。むしろ、友情や家族的な絆、共通の趣味や価値観に基づく深いつながりを大切にする人も多くいます。感情や人間関係の豊かさは、恋愛や性の有無とは無関係なのです。

「恋愛至上主義」社会の問題点

現代社会、特に日本社会は「恋愛こそが最高の感情体験である」という前提に立っていることが多く、アセクシュアル・アロマンティックの人々は次のような問題に直面します。

「まだ本当の恋を知らない」という決めつけ:「いつか目覚める」「運命の人に出会っていないだけ」といった無理解な言葉をかけられることがあります。これは、その人の存在や感じ方を否定する暴力的な言葉です。

異常視や病理化:恋愛や性に関心がないことを「ホルモンバランスの問題」「心の傷」「未熟さ」などと病理化されることもあります。しかし、アセクシュアリティは病気でも治療すべきものでもありません。

社会的孤立:恋愛話が中心となる社交の場で疎外感を感じたり、「結婚しないの?」というプレッシャーにさらされたりすることがあります。

NHK「あさイチ」特集で紹介された「友達4人で約束をしている」というケースは、恋愛や性を基盤としない人間関係でも、互いに支え合い、人生を共にすることができる可能性を示しています。これは従来の結婚制度の枠組みを超えた、新しいライフパートナーシップのかたちといえるでしょう。

多様な性のあり方の尊重へ

性的指向・恋愛指向はスペクトラムであり、明確に区分できるものではありません。完全なアセクシュアルから高い性的欲求を持つ人まで、完全なアロマンティックから強いロマンティックな感情を持つ人まで、無限のグラデーションが存在します。

重要なのは、どの位置にいる人も等しく尊重されるべきということです。恋愛や性の有無が人間の価値や人生の充実度を決めるわけではありません。それぞれの人が自分らしい形で人とつながり、幸せを追求する権利があります。

恋愛と結婚は別:分離する感情と制度

ロマンティック・ラブ・イデオロギーの功罪

「恋愛結婚が理想」とされる価値観は、実は歴史的に見れば比較的新しい概念です。日本では戦後の民主化とともに、自由恋愛に基づく結婚が理想化されましたが、これは西洋から輸入された「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」の影響を受けています。

このイデオロギーは「運命の相手と恋に落ち、その情熱を基盤に結婚し、生涯添い遂げる」というストーリーを理想化します。映画やドラマ、小説などのメディアもこの価値観を強化してきました。

しかし現実には、恋愛感情は変化するものです。脳科学の研究によれば、恋愛初期の情熱的な感情(リメランス)は、脳内物質の作用によるもので、通常1~3年程度で減衰します。その後、関係が続くかどうかは、情熱よりも相性、価値観の共有、コミュニケーション能力、問題解決能力などに依存します。

つまり、情熱的な恋愛感情だけで長期的なパートナーシップを維持することは困難なのです。

「恋愛と結婚は別」という成熟した視点

近年、「恋愛と結婚は別」と考える人が増えています。これは冷めた見方というよりも、むしろ現実を見据えた成熟した視点といえるかもしれません。

パートナーシップとしての結婚観:恋愛感情の有無にかかわらず、人生の伴侶として互いを尊重し、協力し合う関係を築く。価値観の共有、生活スタイルの相性、金銭感覚、子育て観、介護観など、長期的な人生設計における一致が重視されます。

経済的パートナーシップの視点:住宅購入、子育て、老後資金など、経済的側面から結婚を選択する合理的な判断も尊重されるべきです。「打算的」と否定的に捉えられることもありますが、経済的安定は生活の重要な基盤であり、それを考慮することは賢明です。

友情ベースの結婚:深い友情と信頼関係を基盤とした結婚も、持続可能な関係性のひとつです。「親友と結婚した」という表現は、実は非常に安定した関係を示しています。性的関係を伴わない結婚も含め、多様なかたちが模索されています。

恋愛と結婚を分離することのメリット

恋愛と結婚を分離して考えることで、次のようなメリットがあります。

現実的な期待値の設定:「恋愛感情が冷めた=結婚失敗」という短絡的な判断を避け、長期的な視点でパートナーシップを評価できます。初期の情熱が落ち着いた後に構築される、より深い絆の価値を認識できます。

多様な親密性の承認:恋愛感情や性的関係だけが親密さの証ではないという理解が広がります。尊敬、信頼、思いやり、共感など、さまざまな形の親密性が結婚の基盤となりうることが認識されます。

プレッシャーからの解放:「結婚するなら激しく恋愛していなければ」というプレッシャーから解放され、より自由に自分に合った関係性を選択できます。

実際、多くの離婚原因は「恋愛感情の消失」ではなく、価値観の不一致、コミュニケーション不全、経済問題、親族関係のトラブルなど、より実務的な問題です。最初から恋愛と結婚を分けて考えることで、これらの重要な要素に注意を向けやすくなります。

恋愛や結婚がマストではなくなった社会

独身者増加の統計と社会背景

日本では生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合)が継続的に上昇しています。2020年の国勢調査では男性で約28%、女性で約18%に達し、今後さらに上昇すると予測されています。つまり、男性の約4人に1人、女性の約5人に1人が生涯未婚という時代になっているのです。

この背景には、複合的な社会的要因があります。

経済的不安定性の増大:非正規雇用の増加、賃金の伸び悩み、将来への不透明感などが、結婚や出産を先延ばしにする要因となっています。特に若年層の経済的基盤の脆弱さは深刻で、「結婚したくてもできない」経済的理由を挙げる人も多くいます。

女性の社会進出と経済的自立:女性が高学歴化し、正社員として働き、経済的に自立できるようになったことで、「結婚しなければ生きていけない」という時代は終わりました。むしろキャリア志向の女性にとって、結婚や出産がキャリアの中断や降格を意味する現実が、結婚を躊躇させる要因となっています。

価値観の多様化とロールモデルの可視化:「人生は結婚・出産だけではない」という認識が広がり、趣味、キャリア、自己実現、社会貢献など、さまざまな生き方が肯定されるようになりました。SNSの普及により、独身で充実した人生を送る人々が可視化され、多様なロールモデルが提示されるようになったことも影響しています。

結婚に伴う負担の増大:結婚式、新居、出産・育児など、結婚に伴う経済的・時間的・精神的コストが高まっています。特に女性にとっては、家事・育児の負担が依然として偏っている現実が、「結婚=負担増」というイメージにつながっています。

「マスト」から「オプション」への転換

かつて結婚は社会的な「マスト(必須事項)」でしたが、今や「オプション(選択肢のひとつ)」となりました。この変化は、社会に大きな影響を与えています。

個人の自己決定権の拡大:自分の人生を自分で設計する自由が尊重される社会へ。結婚するかしないか、子どもを持つか持たないか、どのような関係性を築くか、すべて個人の選択として認められるようになりました。かつてのような「適齢期」というプレッシャーも弱まりつつあります。

多様性への寛容性の向上:「普通」や「標準」の概念が揺らぎ、さまざまな生き方が並列的に存在する社会へ。独身、事実婚、同性パートナー、複数人でのシェア生活など、多様なライフスタイルが可視化され、以前ほど異端視されなくなっています。

社会制度の再設計の必要性:結婚を前提とした社会制度(税制、社会保障、住宅政策など)の見直しが求められています。単身世帯が増加する中、単身者や非婚カップルも公平に扱われる制度設計が課題です。年金制度、介護保険、相続制度なども、多様な家族形態に対応する必要があります。

「結婚しない自由」がもたらす社会的課題

結婚がマストではなくなったことは、個人の自由の拡大という点で肯定的ですが、同時に新たな社会的課題も生んでいます。

少子化問題との関連:日本では結婚と出産が強く結びついているため、未婚率の上昇が少子化に直結します。婚外子の割合が2%程度と極端に低い日本では、「結婚しない→子どもを産まない」という図式が成立しやすいのです。ただし、この問題を「結婚しない人が悪い」という個人責任論に矮小化すべきではなく、結婚や出産がしやすい社会環境(保育所整備、育児休業制度、労働時間削減など)の整備が重要です。

単身高齢者の増加:生涯独身の人が高齢期を迎えたとき、介護、医療、住まい、孤独死などの問題が顕在化します。配偶者や子どもがいない場合、誰が意思決定をするのか、誰が看取るのか、という課題があります。血縁・婚姻関係に依存しない社会的支援システムの構築が急務です。

新しい「絆」の模索:結婚や血縁に代わる新しいつながりのかたちとして、友人関係、地域コミュニティ、同じ価値観を持つ人々のネットワーク、シェアハウスやコレクティブハウスなどが注目されています。「友達4人で約束をしている」というケースも、この流れの一部といえるでしょう。

人は結局のところ誰かと一緒にいたい、安心したいという動物

孤独の科学:つながりへの根源的欲求

結婚制度や恋愛観がどのように変化しようとも、人間が社会的動物であることに変わりはありません。心理学、神経科学、進化生物学などの研究は、人間のつながりへの欲求が生物学的に根ざしていることを繰り返し示しています。

孤独がもたらす健康リスク:長期的な孤独は喫煙や肥満に匹敵する健康リスクをもたらすことが、多くの研究で明らかになっています。免疫機能の低下、心血管疾患のリスク増加、高血圧、うつ病、認知症のリスク上昇など、孤独は身体的・精神的健康に深刻な影響を及ぼします。2023年には、アメリカの公衆衛生局長官が「孤独は公衆衛生上の危機」と宣言したほどです。

愛着理論と安全基地の必要性:心理学者ジョン・ボウルビィの愛着理論は、人間が生涯を通じて「安全基地」となる存在を求めることを示しています。幼少期は親が安全基地ですが、成人後はパートナーや親しい友人がその役割を果たします。安全基地があることで、人は安心して世界を探索し、挑戦し、成長できるのです。

オキシトシンと社会的絆の化学:「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンは、スキンシップ、ハグ、親密な対話、協力行動などによって分泌され、信頼感や絆を強化します。このメカニズムは恋愛関係に限らず、友情、親子関係、ペットとの関係でも同様に機能します。

結婚以外の「安心」と「つながり」の見つけ方

「誰かと一緒にいたい、安心したい」という欲求は、必ずしも結婚という形式を必要としません。現代社会では、多様な形で安心とつながりを得る方法が模索されています。

深い友人関係の構築:家族のように互いを思いやり、人生の重要な局面で支え合う友人関係。一部の研究者は、成人後の人生においては配偶者よりも親しい友人のほうが幸福度に寄与する場合もあると指摘しています。特に独身者にとって、友人関係は生活の質を大きく左右します。

コミュニティへの帰属:趣味のサークル、ボランティア活動、宗教コミュニティ、オンラインの同好者グループ、地域の活動など、共通の関心や価値観で結ばれたコミュニティは、帰属意識と安心感をもたらします。複数のコミュニティに所属することで、より豊かな人間関係を築けます。

選択的家族(チョーズン・ファミリー):血縁や法的関係によらず、自分で選んだ人々と「家族のような」関係を築く概念。LGBTQコミュニティで発展した概念ですが、今や幅広い人々に受け入れられています。「本当の家族」とは血縁ではなく、互いに選び合い、支え合う関係だという考え方です。

複数人での共同生活とパートナーシップ:NHK「あさイチ」で紹介された「友達4人で約束をしている」というケースのように、複数人で支え合う新しい生活形態も登場しています。シェアハウス、コレクティブハウス、コハウジングなど、住まいを共有しながら適度な距離を保つ形態も実験されています。

「完璧なパートナー」幻想からの解放

「運命の人」「ソウルメイト」「理想のパートナー」という概念は、ロマンティックではありますが、しばしば非現実的な期待を生み、人間関係を苦しめます。一人の人間がすべての感情的ニーズを満たすことは不可能であり、そのような期待は関係性に過度な負担をかけます。

多様なつながりによる充足:恋人や配偶者、親しい友人、家族、仕事仲間、趣味の仲間、メンター、近所の人など、さまざまな関係性がそれぞれ異なる役割を果たします。一人の人に依存するのではなく、複数の関係性から安心感や充足感を得ることが、より健全で持続可能です。心理学ではこれを「社会的ネットワークの多様性」と呼び、メンタルヘルスの重要な保護因子とされています。

「良い関係」の再定義:完璧な相性や永遠の情熱ではなく、互いの欠点を受け入れ、対話を通じて関係性を育てていく姿勢こそが重要です。関係性は「見つける」ものではなく「築く」ものという認識が広がっています。conflict(対立)をどう建設的に解決するかが、関係の質を決めるのです。

孤独と向き合う力

人とのつながりは重要ですが、同時に「一人でいる時間」や「孤独」を健全に過ごす能力も大切です。

ソリチュード(積極的孤独)の価値:孤立(loneliness)と孤独(solitude)は異なります。自分自身と向き合い、内省し、創造性を発揮する時間としての孤独は、心理的成長と自己理解に不可欠です。多くの芸術家、思想家、科学者が、孤独な時間の重要性を語っています。

自己充足と他者依存のバランス:他者との関係に過度に依存せず、自分自身で自分を支える力(自己効力感、自己肯定感)を持つことが、健全な関係性の基盤となります。逆説的ですが、自立した個人同士のほうが、より深く豊かな関係を築けます。「一人でも大丈夫だけど、一緒にいたい」という状態が理想的です。

マインドフルネスと自己受容:一人の時間を瞑想、読書、散歩、趣味などに使い、自分の内面と対話する習慣は、孤独を恐怖ではなく貴重な時間に変えます。自己受容が進むと、他者からの承認への依存も減ります。

おわりに:新しい時代の「つながり」を共に模索する

結婚制度の意味の変化、多様な婚姻のかたち、結婚しても名前を変えたくない人々、海外で婚姻する選択、パートナーシップ制度の広がり、アセクシュアルで恋愛や性交渉に意味を見出せない人々の存在、「恋愛と結婚は別」という価値観、そして「恋愛や結婚がマストではなくなった」社会——2025年12月17日のNHK「あさイチ」特集が投げかけたこれらすべての問いは、人間のつながり方が根本的に問い直されている時代に私たちが生きていることを示しています😄

しかし、形式や制度がどのように変化しようとも、人間が社会的動物であり、誰かと一緒にいたい、安心したいという根源的な欲求を持つことに変わりはありません。問題は「結婚するか否か」ではなく、「どのような形で人とつながり、支え合い、安心を得るか」なのです。

「友達4人で約束をしている」という新しい絆のかたち、事実婚やパートナーシップ制度の選択、海外婚姻という方法、結婚しても名前を変えない工夫、恋愛や性を伴わない深い人間関係——これらすべては、従来の枠組みにとらわれない、多様な「つながり」の模索です。

2025年の日本社会は、まさにその転換点に立っています。制度と実態のギャップを埋め、誰もが自分らしい形で人とつながり、安心して生きられる社会を実現するために、私たちには柔軟な思考と相互理解が求められています。

選択的夫婦別姓制度の導入、同性婚の法制化、パートナーシップ制度の全国統一化、婚外子への差別撤廃、多様な家族形態に対応した社会制度の整備——これらの課題に向き合うことは、単に一部の人々のためではなく、すべての人がより自由に、より幸せに生きられる社会を築くことにつながります。

結婚するもしないも、どのような形の関係を選ぶも、すべては個人の自由です。しかし同時に、人は一人では生きていけないという事実も忘れてはなりません。新しい時代のつながりのかたちを、私たちは今、共に模索しているのです。

あなたにとっての「つながり」とは何ですか? あなたが安心できる関係性とは? その答えは一つではなく、人の数だけあるはずです。大切なのは、自分にとっての答えを見つけると同時に、他者の選択も尊重することです。多様性を認め合う社会こそが、すべての人にとって生きやすい社会なのですから💖

当結婚相談所に入会せずとも、個別相談を受け付けています。ご希望の方は、ラインから予約をお願いします。

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